<p>「Retail Strategist 簗瀬大輔の頭の中」<br />
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今回は、さまざまアパレルブランドを立ち上げ、Retail Strategist として空間づくりの第一線で活躍中のSTRATE inc. CEO 簗瀬大輔氏をお招きしてお送りします。<br />
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スピーカー:STRATE inc. CEO 簗瀬大輔<br />
情報提供:株式会社TNC 岸本悠生<br />
聞き手・構成:THINK!VMD管理人 五十嵐雅浩<br />
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【物事を見る目線】<br />
僕は仕事柄、世界中のいろんな国に行く機会があります。最近ではシンガポールに新規出店予定のブランドの空間デザインのディレクションをしたり。そういった機会には、できるだけその国の文化に触れられるように、現地の人々とふれあい、ガイドブックにも載っていないような土地やお店に出向きます。できるだけ多くをインプットできるように心がけています。よく大学の講義などで皆に伝えるのですが、「物事を見る目線を養って欲しい」と。その目線を養う・鍛えるには「自らの体験」がとっても重要となる。そのような自分の体験を通じて自分なりに解釈し、できるだけ多くをアウトプットする。それを繰り返し行う事で「見極め力」みたいなものが鍛えられる。「物事を見る目線=本質を見る力」が鍛えられると世の中で起こっている色々な事が理解できて、人生が楽しくなる。<br />
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【世界のコミュニティ】<br />
ポートランドのエコビレッジなどといったシェアリングエコノミーという価値観が話題になって久しいですが、実際に訪れてみて感じたのは、このような価値観はもっと広がり世界中で共感を生むと思っています。そんな中、日本におけるエコビレッジな文化はないのか?と、いろいろ考えていたんですね。そこで目に止まったのが江戸の暮らしでした。江戸の暮らしにはとても人と人とが関わり、頼り合い、協力し小さい等身大のコミュニティの中で助け合い(サービス)と躾(教育)が生まれ、「利口に、たくましく、生きる知恵」がたくさん詰まっていて、とってもスマートシティだったと思う。これからの空間づくりにおいても学ぶべき事はたくさんあります。<br />
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【ものづくりに本質が宿(らせ)る大切さ】<br />
よく「世界に通用する本質」を求められる事があります。本質とはそんなに難しいことではなく、「真面目に、一生懸命にものを作り、それを真摯に人に届ける」ことだと思っています。<br />
前職でTAKEO KIKICHIというブランドのコンセプトショップをつくりました。その際には、オープンスタジオをつくり「作り手の顔・ものをつくっていくプロセスをしっかりとお客さまへ届ける空間を表現しました。また、オープンストックも採用しています。バックヤードのきれいさがブランド力に比例するからです。このように、ブランドのスタンスとコンセプトを正々堂々・まっすぐにお客さまへ伝える事がとても重要だと思いました。このブランドのスタンス・コンセプト・正々堂々感を「ブランドの生き様」と考えています。つまりはお店づくりにおいて「ものづくりに本質を宿らせる」ことが大切で、それがないとお客様にも何も伝わらないと思っています。<br />
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【情報を成長させる】<br />
今はさまざまな情報に簡単にアクセスできる時代です。簡単にアクセス出来てしまうゆえに、検索すればすべてがわかったような気になってしまう。そんな危険性もあります。そんな時代だからこそ「物事を見る目線=本質を見極める力」が効いてきます。また、新時代をつくって上で「情報を成長させる力」すなわち「情報編集力」も重要なスキルです。今回THNIK!VMDの3Dシミュレーターでつくりあげた空間提案は、そんな「情報編集力」に着目してつくっています。そこで、情報の洞察力・深さにおいて信頼している情報ネットワーク「TNC Life Style RESEARCHER(TNCライフスタイル リサーチャー)」(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )の取材・編集を行なっている株式会社TNC岸本悠生氏とのコラボレーションとしています。世界トレンドを考察・再編集し空間デザイン構築していくというデザインプロセスです。TNC Life Style RESEARCHERは、世界70ヶ国に各地域在住の500人以上のライフスタイル・リサーチャーが現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣をレポートしているので、リアルでディープな情報が詰まっています。いわゆる「生の情報」があります。例えばとして、僕(簗瀬)とTNC岸本氏が注目する、空間づくりに有益なトピックをいくつか上げてみました。<br />
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①ポップアップモールの先駆け「ロンドンのBox park」<br />
②建築家が中心にとなったシェアオフィス「ブリクストンのポップブリクストン」<br />
③クリエイティブでアーティーなオリンピック開発地区跡地「Sugar house」<br />
④進化系コミュニティーモール「バンコクのコモンズ」<br />
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このような世界トレンドを考察することで次なる一手をどうするべきかが見えてきます。これらの情報と自らの体験を基に情報を成長させ、これから日本に求められる価値へ変換する。こういったアプローチが有効だと考えます。<br />
今回は特に「増殖していく空間の在り方:有機的で文化が交じり合う可変性」といった点に着目しています。そんな未来提案の一つをつくってみましたので、ご覧になってみてください。<br />
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<参考><br />
STRATE inc.(http://strate-inc.com/ )<br />
TNC Life Style RESEARCHER(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )</p>